自己破産ができる金額はいくらから?負債額の目安を解説
- 「自己破産ができる金額は、いくらからできるの?」
- 「自分の借金は100万円だけど、自己破産できる?」
と、疑問を持つ人も少なくありません。疑問に回答していきます。
どうしても借金の返済ができない場合、自己破産が有効です。
自己破産をすれば一部の特殊な債務を除いて、借金が消えてなくなります。借金のない状態から再出発することができるのです。
この記事では、「自己破産ができる金額はいくらからなのか?負債額の目安」について解説していきます。
目次
自己破産ができる金額はいくらから?
自己破産できる条件は借金の額ではありません。
「自己破産をする人の借金の平均額はいくら?」や「自己破産の最低額はいくら?」ということは気にする必要ないのです。
自己破産が、借金10万円でもできますが、借金10万円払えない人は、自己破産費用がそもそも払えない可能性があります。
つまり、最低限の借金の目安としては、35万円以上となります。なぜなら、自己破産にかかる費用が35万円程度かかるため、その費用が用意できるなら、自己破産せず返済できるからです。
手続きの種類 | 同時廃止事件 | 管財事件 | 少額管財事件 |
---|---|---|---|
裁判所費用 | 約1~3万円 | 約50万円 | 約20万円 |
弁護士費用 | 約25万円~30万円 | 約30万円〜50万円 | 約30万円〜50万円 |
総額 | 約35万円 | 約80万円~100万円 | 約50万円~70万円 |
借入額がいくらで自己破産している方が多い?
自己破産をした人の借金額で最も割合が多いのは、2020年の日弁連の資料だと、「200〜300万円未満(14.52%)」、ついで「100〜200万円未満(13.87%)」です。つまり、200万円~300万円の借金が実際に自己破産を考える水準になってくると考えられます。
負債額帯 | 割合 |
---|---|
100万円未満 | 8.39% |
100〜200万円未満 | 13.87% |
200〜300万円未満 | 14.52% |
300〜400万円未満 | 11.13% |
400〜500万円未満 | 7.42% |
500〜600万円未満 | 5.56% |
600〜700万円未満 | 4.76% |
700〜1,000万円未満 | 8.71% |
1,000〜2,000万円未満 | 11.05% |
2,000〜3,000万円未満 | 5.65% |
3,000〜4,000万円未満 | 2.50% |
4,000〜5,000万円未満 | 1.05% |
5,000万〜1億円未満 | 1.77% |
1億円以上 | 2.90% |
不明 | 0.73% |
参考:「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」(日弁連)
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自己破産できる条件
自己破産できる条件は、以下の2つを両方とも満たすことです。
- ①支払不能状態であること
- ②免責不許可事由がないこと
次からの項目で、それぞれ紹介していきます。
①支払不能状態であること
「支払不能状態」とは、その人の収入や財産または社会的な信用をもってしても、既に借金を支払えない、あるいは借金を支払える見込みがない状態です。
例えば1億円の借金があったとしても、それを支払える収入や財産がある人であれば、支払不能状態であるとは認めてもらえません。
反対に、借金の額が100万円やそれ以下の額であっても、それを支払える収入も財産もない人の場合は、支払不能と認めてもらえる可能性があります。
何をもって支払不能状態とするかは、裁判所が破産申立人の収入・資産・借金のバランスを考慮して、総合的に判断したうえで決定します。
そして支払不能と認められるには、最低でも以下3つの条件を満たしていなければなりません。
支払能力がない
債務者に債務を返済できる能力がないことです。
借金の額が年収の1.5倍または2倍以上であれば、支払不能状態と認められる可能性が高いようです。
また、3~5年かけても借金を完済できる見込みがない場合も、支払不能状態と認められやすいとされています。
このため無職の人や年金しか収入がない高齢者などは、借金の額が少なくても支払能力がないと認められることがあります。
債務が既に履行期にある
自己破産をするには、借金の支払期限が既に到来していることが前提となります。
仮に財産も収入もない人に数億円の借金があったとしても、その支払期限が1年先などであれば、支払不能状態とは認めてもらえません。
少なくとも期限が到来するまでは、お金を工面して返済の努力をするか、前もって弁護士に相談して今後何をするべきかを検討する方がいいでしょう。
支払不能であることが継続的かつ客観的である
例えば今月たまたま資金繰りが悪かった、たまたま友人知人の結婚や葬儀が重なったせいでご祝儀や香典がかさみ、支払期日に返済ができなかった…などの場合でも、それをもって自己破産できるわけではありません。
近々給料などのまとまったお金が入る予定があるような場合は、そのお金で返済が可能だからです。
客観的に見て借金を支払えない状態が継続しているか、今後も継続する見込みであることが、自己破産の条件となっています。
②免責不許可事由がないこと
自己破産は「破産手続」と「免責手続」の2つで構成されています。
財産を処分される手続きが「破産手続」です。
そして借金をゼロにしてもらうことを「免責」と言い、免責を許可するかどうかを裁判所が決める手続きが「免責手続」です。
自己破産の目的は免責を許可してもらうことですが、破産法には「免責不許可事由」というものが列挙されており、これに該当する人は免責を許可してもらえません。
では、どういったことが免責不許可事由とされているのでしょうか?
ここでは免責不許可事由の内容を、簡単な言葉で説明します。
- 借金の理由がギャンブルや浪費である
- 返せる見込みがないのに嘘をついて借金をした
- 財産を隠す、壊すなどして、その価値をわざと減らした
- クレジットカードのショッピング枠を現金化した
- 闇金からお金を借りた
- 複数の債権者がいる場合、特定の債権者にだけえこひいきになるような弁済をした
- 財産等に関する帳簿類に嘘を書いたり、帳簿を隠したりした
- 自己破産の提出書類に嘘を書いた
- 自己破産に手続きにおいて、裁判所等の指示に従わない、または裁判所の業務を妨害した
- 過去7年以内に自己破産で免責を受けるなどの法的保護を受けた
自己破産に関するよくある質問
自己破産とは?
自己破産とは、裁判所に申立てを行って、自分の持つ一定以上の財産を処分する代わりに、借金をゼロにしてもらう債務整理です。
財産を処分されると言っても、99万円以下の現金、20万円以下の資産価値の財産、家具や寝具や生活必需品など、多くのものは処分せずに済みます。
財産が少ない場合、まったく財産を処分せずに借金をゼロにしてもらえることもあります。
一方で、持ち家を含む不動産、自動車、評価額20万円を超える品物、20万円以上の解約返戻金がある保険などは処分され、お金に換えられて債権者への弁済に回されます。
また、自己破産をした場合、手続きが終わるまでは一定の職業に就けないという「資格制限」を受けてしまいます。
さらに、5~10年程度は自己破産をした情報が「信用情報機関」という組織のデータベースに登録されます。
この情報はローンやクレジットカード等の審査で利用されるため、登録された期間中は借金ができず、クレジットカードも作れなくなります。
このような一定のデメリットはあるものの、借金をゼロにできるメリットは大きいため、日々多くの人が自己破産をして、新しい人生の一歩を踏み出しています。
事故反「裁量免責」の可能性とは?
破産法には、裁判官が自己の裁量で免責を許可できる旨の決まりがあります。これを「裁量免責」と呼びます。
たとえ借金の理由がギャンブルであっても、この裁量免責によって借金をゼロにしている人はたくさんいます。
免責不許可事由に該当しているとしても、「裁量免責」の可能性があるため、諦めるのはまだ早いです。
裁量免責を得るには、積極的かつ真剣に自己破産の手続きに協力し、不誠実なことを行わず、経済的自立を誓い、それに見合った行動と態度で過ごすことが大切です。
その姿勢をどのようにアピールするかなどは、管轄裁判所の運用に詳しい弁護士にご確認ください。
まとめ
今回は自己破産できる条件について、特に借金の金額に関することを紹介してきました。
自己破産できる最低額というものは存在せず、支払不能状態にあるかどうかで判断されます。
しかし、自分が支払不能状態にあることを裁判所から認めてもらえるのか判断できない人も多いはずです。
そういったときは、自己破産に強い弁護士に相談してください。
弁護士は管轄裁判所による過去の運用を考慮して、見込みがあるかを教えてくれます。
また、処分する財産がある場合や免責不許可事由がある場合などは、自己破産の手続き内容や費用が変わってしまいます。
そういった場合でも弁護士に依頼しておけば、前もって適切な準備ができるので安心です。
借金で悩んでいる、自己破産などの債務整理を検討しているなどの場合は、ぜひ弁護士までご相談ください。