固定資産税を滞納して差し押さえられた!?回避・解除方法は?
固定資産税を滞納すると、最終的には財産の差し押さえをされる可能性があります。時効まで放置されることはありませんので、…[続きを読む]
この記事では、固定資産税の滞納していたら督促状が届いた場合の対処法について詳しく解説していきます。
土地や建物などの不動産を所有している場合、固定資産税を納付する必要があります。
納税は国民の義務ですので、固定資産税の支払いを免れることはできません。
固定資産税を支払わずにいると、税務署から支払いを催促する「督促状」が届きます。
督促状を無視していると、最終的には滞納処分の手続きが取られ、財産が差し押さえられてしまいます。強制執行を受けると多くの財産を差し押さえられます。
そのため、固定資産税の滞納状態はできる限り早く解消する必要があります。
目次
固定資産税を滞納してしまった場合、税務署が回収に向けて動くことになります。
固定資産税を滞納した場合のその後の流れについて解説します。
固定資産税を滞納した場合、納付期限の翌日から延滞税が発生してしまいます。
滞納期間が長くなればなるほど延滞税の金額も大きくなるため、できるだけ早く滞納状態を解消しなければなりません。
固定資産税の滞納状態が一定期間続くと、税務署から督促状が送られてきます。
市区町村税である固定資産税については、納付期限から20日以内に督促状が発送されることが法律で定められています(地方税法329条1項)。
督促状を無視していると、滞納処分による財産の差し押さえが現実味を帯びてきます。
そのため、督促状を受領した場合には、放置せずに適切な対応を取る必要があります。
固定資産税の督促状が発送されてから10日間が経過しても、固定資産税の納付が完了しない場合には、その段階で税務署は納税義務者の財産を差し押さえることができます(地方税331条1項1号)。
この段階になると、いつ財産を差し押さえられてもおかしくありません。
しかし実際には、納税義務者に対する最後の警告として、税務署から電話や郵便による納税の催告が行われています。
督促状を受領した後に電話や郵便などで納税の催告を受けた場合には、既に事態はのっぴきならない状態です。
最低でもこの段階までに、納税を完了する、税務署に相談するなどの対応をとっておく必要があります。
督促状の発送や、電話や郵便での催告が行われてもなお固定資産税が納付されない場合には、滞納処分という固定資産税の強制徴収が行われます。
滞納処分では、納税義務者の以下のような財産が差し押さえられてしまいます。
差し押さえは特に予告なく行われるため、納税義務者としては準備ができず、生活に困窮してしまうことになりかねません。
また、給与債権が差し押さえられることで「固定資産税滞納の事実が勤務先の会社に発覚する」「固定資産税滞納の事実が信用情報機関の事故情報(ブラックリスト)に登録され数年間借り入れができなくなったり、クレジットカードが止められたりする」などの問題も生じてしまいます。
滞納処分が納税義務者に与える影響は非常に大きいといえますので、滞納処分が行われる前に早急に対処方法を検討する必要があります。
固定資産税を納付するための資金がどうしても準備できないという場合であっても、滞納処分を回避するためにできる限りの対策をとっておく必要があります。
固定資産税を期限どおりに納付することが難しいという場合に、納税義務者が取ることのできる対処方法について以下解説します。
まずは税務署に相談をして、資金が準備できるまで納付を待ってもらえないか交渉しましょう。
地方税法には、固定資産税の納付が困難な人のために、①納税の猶予と②換価の猶予という2つの猶予制度が設けてられています。
納税の猶予とは、納税義務者に突発的な災難が発生して固定資産税の納付が困難になった場合に、固定資産税の全部または一部の徴収を猶予してもらえる制度です(地方税法15条1項)。
たとえば、以下のような場合に納税の猶予が認められる可能性があります。
最近では新型コロナウイルスの影響が広がっていますが、新型コロナウイルスの影響で事業につき著しく損失を受けたりした場合には、上記の要件に該当するものと考えられます。
納税の猶予の制度では、最大で1年間固定資産税の納税猶予が認められます。
換価の猶予とは、滞納処分により差し押さえられる納税義務者の財産の換価・処分を一定期間待ってもらえる制度です(地方税法15条の4第1項)。
換価の猶予が認められるためには、以下の要件をみたす必要があります。
上記の要件をみたすためには、税務署に対して納税に対する誠実な態度を見せ、固定資産税を納付するつもりがあるということを理解してもらう必要があります。
換価の猶予も最大で1年間の猶予が認められます。
このように、税務署に相談して納税の猶予や換価の猶予の制度を利用することにより、固定資産税の納付までの時間を稼ぐことができます。
その間に収入を回復するなど、納税資金を準備するめどを付けることができれば、固定資産税の滞納状態を解消することができるでしょう。
どうしても固定資産税の納税資金を捻出することが難しいという場合には、固定資産税が発生する原因となっている自宅の土地・建物を売却してしまうこともひとつの手段です。
滞納処分による差し押さえ・換価の手続きにより自宅の土地・建物が処分されてしまうと、処分価格が市場価格よりも安くなってしまう傾向にあります。
そうなるくらいであれば、自分で買い手を探して売却し、売却資金を固定資産税の納付に充てた方が良いという判断です。
なお、既に差し押さえが行われてしまった場合でも、「自宅の土地・建物を売ったお金で固定資産税を納付する」という条件を付けることで差し押さえを解除してもらえる可能性がありますので、弁護士を伴って税務署と交渉することをおすすめします。
他に借金があるために固定資産税の納税資金を捻出できないという場合には、弁護士に依頼して債務整理をすることで、納税資金を捻出できる可能性があります。
たとえば他の借金について任意整理を行い、月々の返済額を減額してもらうことができれば、固定資産税を分割で支払っていくための資金を確保することができるかもしれません。
なお、固定資産税自体は、債務整理によって減額してもらうことはできません。
税務署が任意整理の交渉に応じてくれることはありませんし、個人再生手続や破産手続においても、固定資産税を含む租税債権は免責や減額の対象外とされています。
しかし、債務整理を行って他の借金を減らすことができれば、固定資産税の滞納状態を解消できるだけでなく、生活状況を大きく改善することにも繋がります。
もし重い借金に苦しんでいるという場合には、ひとりで悩まずに弁護士にご相談ください。
固定資産税とは、「固定資産」を所有する人に対して市区町村から課される税金をいいます。
固定資産税の課税対象である「固定資産」には、以下のものが含まれます(地方税法341条1号)。
「償却資産」は一定の事業用資産を指します。
しかし、一般的に多くの方にとって固定資産税の納税が問題となるのは「土地」と「家屋」、特に自宅の土地・建物である場合が多いでしょう。
固定資産税を何月に納付しなければならないかは市区町村によってさまざまですが、どの市区町村においても一括払いと分割払いのどちらかの支払い方法を選ぶことができます。
分割払いの場合は、年4回に分けて固定資産税を支払うことになります。
例)2022年 新宿区の場合
第1期 令和4(2022)年6月1日から6月30日まで(納期限 6月30日)
第2期 令和4(2022)年9月1日から9月30日まで(納期限 9月30日)
第3期 令和4(2022)年12月1日から12月27日まで(納期限 12月27日)
第4期 令和5(2023)年2月1日から2月28日まで(納期限 2月28日)
※令和4年度固定資産税・都市計画税の納税通知書は、6月1日に発送します。
納税通知書や督促状は普通郵便で送付されます。
地方税法の規定により、送付は納税者の住所、居所等に送付されていれば、通常到達すべきであった時に送達があったものと法律により推定されています。(地方税法第20条)受け取りの方が、見落としていたとしても延滞料が発生します。
郵送事故などが原因で届いていないことが明らかであると証明されない限り、見ている、見ていないにかかわらず、送達されたものとして取り扱われます。
固定資産税を滞納しそうという場合には、滞納処分により財産を処分されてしまう前に、早めに税務署の窓口に相談しましょう。
督促状や電話・郵便での催告を無視していると、現実に滞納処分が執行されて、生活が困窮してしまうことになりかねません。
そうなってしまわないように、固定資産税を支払うことができるのであればすぐに支払いましょう。
もし固定資産税を支払うことが難しいのであれば、
などの対処を試みることが必要です。
固定資産税の滞納で悩んでいる、借金を支払いきれないほど多く抱えているという場合には、弁護士にご相談ください。
弁護士は、債務整理などについての豊富な知識と経験を元に、依頼者にとって最適な解決方法を一緒に考えてくれます。
一人で悩んでいたり、何もしないでいたりすると、事態は良い方向へ動いていきません。
債務の支払いでお悩みの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。