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独身40代男性が親の借金で人生転落「ギャンブルもせず真面目にやってきたのに…」

 人生も中間折り返し地点となり、あとは老後に向けてもうひと踏ん張り……というところで、これまで築き上げてきた資産が強制消去。若い頃のように無理も利かないなか、突然に訪れた悪夢にどう対処すればいいのか。さまざまな実例と類型から考察した。
介護施設

※写真はイメージです

家族の死によりあれよあれよと馬力不足で困窮

~ 袴田俊樹さん(仮名・44歳・独身)貯金1200万円→現在300万円(ゼロ予定)~  家族の死がトリガーとなり、そのまま転がり落ちるケースもある。郊外ながらも駅近くの広い一戸建てに、70代の両親、弟と同居する袴田俊樹さん(仮名・44歳・独身)。  大学を卒業後、地場産業である人形店への就職にこぎ着けた。  給料は安く、業種形態からも右肩上がりは見込めないが、実家暮らしのためなんとかなってきた。  そこに陰りが見え始めたのは4年前。健康自慢の母が脳梗塞で倒れ、要介護となってしまうと、母親にべったりだった弟までもが精神を病み、寝たきりになってしまったのだ。  それでも、小売店を経営していた父が農業や運送系の仕事を掛け持ちして母と弟の介護費用を月約40万円ほど工面してくれたため、袴田さんに負担がかかることはなかった。しかし、半年前に母が他界すると、気を落とした父はそれから1か月もたたないうちに不注意による自転車転倒事故で、そのまま車椅子生活となってしまった。  突然、すべてを背負う形になった袴田さん。人形店の収入では支えきれず、父が貯めていた1200万円を切り崩しながらの生活となったが、父が事業で借りていた借金の返済で既に半分以上を使い切った。また、自活ができなくなった父には認知症の気配も見え始め、借金の債権者からは、不動産の差し押さえをチラつかされている。 「この状況で家を追い出されたら、一家心中するしかない」  袴田さんには、相談先や救済を求められるような友人知人もおらず、このままいずれ家を取り上げられる状況を、指をくわえて見ていることしかできないという。 「ギャンブルもせず真面目にやってきたのに、まさかこんなことになるとは……」(袴田さん) <専門家はこう見る> ・ファイナンシャルプランナー 藤川太氏……任意売却など少しでも高く売る努力で、借金返済後も手元にお金が残る可能性も ・レンタルCFO 鈴木吾朗氏……生活保護や障害者年金を受けることも検討してみてはどうでしょう? ・弁護士 川口洸太朗氏……両親健在の時点なら、家族信託などのスキームを組んで自宅を残せる可能性も 【藤川太氏】 ファイナンシャルプランナー。自動車メーカー勤務を経て、FPに。「家計の見直し相談センター」にて2万世帯を超える家計の見直しを行う。近著に『退職家計やりくりノート』(きんざい) 【鈴木吾朗氏】 レンタルCFO。複数企業で総額50億円以上の資金を調達した経験がある、資金調達および財務管理のプロ。ベンチャーのスタートアップを支援するリンクスを運営 【川口洸太朗氏】 弁護士。美容クリニック、飲食店、風俗店などまで幅広い案件を手掛ける。再開発に伴う建物や土地の明け渡し交渉など、トラブルの現場にも数多く携わる 取材・文/週刊SPA!編集部 ― ある日突然[中年で無一文]の地獄 ―
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