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カルト教団に月収10万円でこき使われる日々…。20代を搾取され続けた女性の苦しみ

―連載「沼の話を聞いてみた」― 寝不足の青白い顔で、深夜0時過ぎまでポスティング。プログラム習得のための各種ワーク、勧誘活動、反省会、勉強会、事務所の雑務。そして賃貸マンションで古参信者と同居する監視生活。報酬は歩合制で月10万円弱(気まぐれに減らされることもある)。自由のない生活、貧困、寝不足、社会との断絶。それでも地球防衛軍のような気持ちで精神の高みと理想社会の実現を目指し、苦渋の日々に20代を費やしたという。 ――今回の語り部、30代女性K子さんだ。
カルト体験談202302-1a

※写真はイメージです(以下同)

K子さんが所属していたのは、アメリカで有名な某カルト宗教団体の日本支部。同教団はハリウッドセレブが何人も入信していることで知られ、たびたびネットニュースにもなるので、カルト宗教に格段興味はなくとも、名前は聞いたことがある人も多いだろう。

カルトへの入口はどこにあったのか

教団では、世界を救うため高次元な精神を目指すという教義が掲げられているが、そのためには有料プログラムをクリアすることが必須。奉仕活動や献金も要求されるようで「やたら金がかかる」という印象だ。 K子さんが入信した当時は、日本で世間一般にはあまり知られていなかったかもしれない。そうしたなか、どのようにハマっていったのか。K子さんの体験した、カルト宗教沼の話を聞いてみた。この話は、決して教義の是非を問うものではない。信者がいかに搾取されていたかどのような経緯でハマっていったのか。元信者の、いち体験をまとめたものである。

親の離婚で不安定な心に入り込む

「母がやっているエステサロンに、本を置いてくれないかという営業が来たのが、その教団を知るきっかけでした。当時はもちろん、新興宗教団体だという認識はありません」 その時K子さんは高校生。両親は離婚して、母親とふたりで暮らしていた。親の離婚によって生活環境が変わり、周囲のゴタゴタに疲れて、人生について深く考えるようになっていったという。 「自然とスピリチュアルや精神世界に興味を持ち始めました。そんなタイミングで、私のようなつらい体験によるトラウマを取り除く技術を、唯一持っている団体だと聞かされ、本を買い始めたんですよね。これがすべての始まりです」
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大学生活、誰しもが抱える悩み。そのすぐそばにカルトが…
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自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。お気軽に、山田ノジルnojiruyamada@gmail.com まで、ぜひご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
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