お金

借金500万円男。参加費120万円のポーカー大会に誘われるが…

―[負け犬の遠吠え]―
ギャンブル狂で無職。なのに、借金総額は500万円以上。 それでも働きたくない。働かずに得たカネで、借金を全部返したい……。 「マニラのカジノで破滅」したnoteが人気を博したTwitter上の有名人「犬」が、夢が終わった後も続いてしまう人生のなかで、力なく吠え続ける当連載は67回目を迎えました。  今回はワクチンを打っていなかったのでカジノに行けなかったお話です。

追い続けたカレンブーケドールが出走した天皇賞

競馬

写真はイメージ

 カレンブーケドールが天皇賞に出場するらしい、と知ったのは前日のことだった。  カレンブーケドールとは僕が唯一応援していた馬で、シルバーコレクターと呼ばれるほど優勝を逃し続けてきた馬だ。去年はこの馬が出る度に馬券を買っていた。  二つ名の通り、優勝が難しい馬だったので優勝予想で買うのは難しく、どうしても他の馬との組み合わせで買わざるを得ないため、競馬素人の僕はロクに良い思いをしたことがなかった。  2着の馬に興味はあるが1着の馬がどれになるかはわからない、そんな状況は馬券を買うに適していない。当然去年は「好きな馬だから負けてしょうがない」という言い訳と共にJRAに募金を続ける1年間を過ごした。  そしてカレンブーケドールはG1の王冠を被ることなく歳を重ねた。同じ歳の名馬はキリのいいレースで次々と引退していく。カレンブーケドールはとうとう3着以内にも入らなくなってしまった。  接戦のレースを彩る名馬として名前が売れたカレンブーケドール。比べるのは失礼なほどに立場が違うが、たくさんの人に応援されながらも勝ちきれないこの馬を10代の頃の自分に重ねて勝手に応援してしまう。  せっかく天皇賞に出るし、これが最後かもしれないから買っておこうと思い、その日は出走馬の中からカレンブーケドールの名前を探し、どうせなら他の強い馬も見ておけば良いものの、運命のその馬の名前を見つけるだけで満足して寝るのだった。

日曜に早起きはふさわしくない

 翌日。かなり早くに起きた。朝の6時か7時だったと思う。日曜日のそんな時間はまだ起きるにはふさわしくなく、 「せっかく最後なら単勝を買ってやるか」  なけなしの5000円と心中する決意を新たにし、昼のレースの時まで再び寝ることにした。  この時点で僕の所持金はほとんど無くなっていた。家賃を払い、返済をすればこうなることはかなり前からわかっていたのだが、なぜか他人事のように指を咥えて口座残高が細くなるのを眺めていたら、こうなった。  5000円の価値がムクムクと増していく。足元の小さな花も綺麗に見える。
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目が覚めると……
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